倉吉のものづくり@ファブラボとっとりmid

中村です。

発表会は、アーティストの制作の様子を共有するオープンスタジオを目指しています。
もともと、各個人の制作のために先月のリサーチ期間があったのですが、お互いが共有できた倉吉のもの・ことと、お互いの表現技法を組み合わせて新作を作ろうということになり、共同制作が始まりました。

中村が詩を書き、久保田さんがそれに合わせて板木に絵を描くという大まかなルールを決めて共同制作がスタート。板木は、長谷川富三郎さんが生徒指導の時に朴の板木を使っていたというエピソードにちなんで、私たちも同じ素材からはじめています。
先月末に詩を完成させたので、久保田さんにお渡ししました。
今月頭から板木に絵を描き出す作業を行なってくれていましたが、モチーフの選定も何度かやり直しがあり、ギリギリまで手を加えていきました。

詩、言葉の展示というのはなかなか難しいもので、紙に印刷したり壁に直接書いたりいろんな手法をやったり見たことがあるのですが、今回は
先月のリサーチ期間に訪ねたBYヨシダ横のブァブラボとっとりmidの会員になって、レーザー加工機を使って作品に直に文字入れを行いました。


先月末から何度も通わせていただきました。
締め切りに間に合わない…!ということで閉館時にも開けていただき作業させていただきました。改めてこの場を借りてお礼申しあげます。マキさん、カガさん、ありがとうございます!
本日全ての板木に文字を入れ込み、額装屋さんにお渡ししました。


一枚の板に絵も言葉も入れるという方法は、私たちにとっては全く新しい方法ではあるのですが、棟方志功さんが開き、長谷川富三郎さんのような後続の板画家が継承した、板画表現のスタイルのひとつです。中国の芸術の考え方には、「書画一致(書画同源)」というものがあります。絵も書も共に筆と墨から生み出されるものであり、優れた文人はどちらにも秀でているという考え方です。中国では、その理想を追求する形で、絵に書が添えられたスタイルが宋時代に完成し、これが日本に伝わって、室町時代ぐらいから日本の水墨画や肖像画に取り入れられていきました。このスタイルを大胆にも板画に取り入れた棟方は西洋美術をベースにした既存の近代芸術に対してとても挑戦的でもある一方で、歴史の軸を大きく見てみると、還元的な気もします。ともあれ、この挑戦を民藝思想家の柳宗悦ら評価し、民藝家たちと棟方が深く交流していったようです。この交流のはじまりが、戦後の長谷川富三郎との出会いにまで繋がっていくといえます。


長谷川富三郎さんの作品の中でのわたしのお気に入りのひとつはこれ。


この作品は、滞在成果発表会でお披露目します。


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